自家焙煎への想い
いなだ珈琲舎では、目指す味わいを作り出すために、自家焙煎を行っています。
焙煎は豆との対話。
言葉をしゃべらない豆の状態を知る為、感覚を研ぎ澄ませて挑みます。
まだ生の豆を、予熱した釜に一気に投入します。
温度の上昇にあわせて豆は2度のタイミングで爆ぜます。
この爆ぜる音を聞く事で、まめの煎りがどこまで進んでいるかを知る事ができます。
耳をすまして豆の声を聞き、釜の中で豆がどんな状態なのかを把握します。
焙煎の仕上がりは、豆の表情を見て確認します。
豆の表面にある「しわ」が良い具合にのびているか、顔色はどうか。
判断にかかるわずかな時間の差で味を左右します。
焙煎中もっとも気を使う瞬間です。
目や耳による自分だけの感覚を客観的に把握するため、
焙煎のデータを毎回残します。
焙煎釜の設置場所・気温・湿度・時間…小さな環境の差で、
味は大きく変わってきます。
岩手県紫波町にある焙煎場では、どんな条件でどんな味になるのか?
何度も何度もテストを繰り返し、データを蓄積し、やっとお客様にお出しできる焙煎の方法を見つけだしました。
開店から取り続けたデータは分厚いファイルに3冊分。
めざすコーヒーの味わいは、苦みも酸味もない味です。
味を決める焙煎のなかで、苦味と酸味が上手くバランスをとりあう
ニュートラルポイントがあります。
そこが当店の考える「苦みも酸味もない味」なのです。
そして気をつけているのは、自己満足にならないようにする、ということ。
究極の一杯のコーヒーを追い求めるのではなく、
安定した美味しいコーヒーを、お客様に提供し続けることが大切だと当店は考えております。
酸味も苦みの邪魔をしない、苦みも酸味の邪魔をしない。
そしてお客様の時間も邪魔しない。
お客様の過ごす時間をさりげなく彩る、そんなコーヒーをめざしています。